民の見えざる手 デフレ不況時代の新・国富論

著者 :
  • 小学館 (2010年7月14日発売)
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【読者】 机上ではなく実体的な経済についての見地を得たい方

【目的】 心理経済学の考え方をもとに、日本の経済を上向かせるための大前流のヒントを与える

【一押】 変化を続ける海外市場の動向と今後注目すべき国がわかってくる。政治においても企業においても個人においても、目的を持つことの重要性が理解できる

【概要】 カネはあるのにモノを買わないという現代の日本経済を上向かせるには、「神の見えざる手」のようなマクロ経済学を起点とした考え方ではなく、人々の消費に対する心理的な動きである「民の見えざる手」を考慮する必要がある。本書はその「民の見えざる手」を分析し、大きく分けて以下3種の需要を解説している。
①企業が見えていないだけですぐそこにある需要・・・単身世帯の需要、機能でなく価値に対する需要
②日本の外に存在する「新興国&途上国」需要・・・重要なお客様としての中国市場、コストが安く内需が拡大するインドネシア市場、原子力で協働できるロシア市場、ビジネス新大陸といえる東欧市場
③規制緩和によって生まれる大規模都市開発という潜在需要・・・市街化調整区域の緩和、湾岸部再開発、容積率の大幅緩和
さらに今後20年で日本が再度成長していくための人材力と政策への提言をする。

【感想】 日本がどうしていくべきかが説得力を持って書かれている。全てを肯定するわけではないが、大前氏のような広い視座を持つことが重要だと感じた。印象に残った意見としては、政治のリーダーには経営でリーダーシップをとった人物がなるべきというものである。日本の現状を見るにこの意見には賛成できる。ただ経済成長より福祉政策が重視される日本では、そうした人物が現れにくいのかもしれない。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ビジネス
感想投稿日 : 2011年3月27日
読了日 : 2011年3月14日
本棚登録日 : 2011年3月13日

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