賢者のおくりもの (講談社 青い鳥文庫)

  • 講談社 (1990年11月10日発売)
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本棚登録 : 63
感想 : 9
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数年前、信州に旅行に行き、その時に「ちいさな絵本美術館」というところに入った。その美術館のなかにいろーんな絵本がいっぱいあり、私はそこにある絵本の中から「クリスマスっぽいの」を探して館内の図書室で読んだのがコレ。スノーマンとか他にもいろいろあったのになぜかこれだった。

 貧しい夫婦が、クリスマスに相手のために何か贈り物をしたいと思い、妻は自分の髪を売って懐中時計の鎖を、夫は自慢の時計を売ってくしを買って、相手に贈ったという話。

 CMで使われたことのある話なので知ってる人は多いかな。
 お互いを思う気持ちに感動できる。私んとこの夫婦なんて、「クリスマスにはコレが欲しい」「買って」なんて平気で言い合ってる上、「2つも買ったら私のもらうプレゼントと釣り合いがとれないから、もうひとつ買って」なんてイヤらしいことまで言い合っている。私どもはこの夫婦の爪のあかを煎じて飲むべきかも知れない。


 実は私は、高校の頃、O・ヘンリーの作品は好きではなかった。とはいってもO・ヘンリーの作品を読みまくった結果そう思ったのではなくて、この話とその他2作品ぐらいしか知らなかったので読まず嫌いに近いものがあったのだが。
 もうひとつの話は授業で習った。やっぱり学校の勉強だったから苦痛しか残らなかったのかも知れない。私は英語のリーダーと数学、物理はめいっぱいキライだったから。授業でその話の終わりのとき、初めて「賢者のおくりもの」のあらすじを聞いた。しかし私はそのとき妙なところで醒めた高校生だったので「けっ」としか思わなかった。「こんなベタなお涙ちょうだいものってキラーイ」なんて思っていた。

 でも、あれから20年近く....(げっ)。あらためてこれを読んで、「こんないい話をなんでキライだなんて思っていたんだろう」と思った。今思えばそれ以前に、高校のころキライだと思っていた本を手にとろうと思ったこと自体、自分でも不思議ですが。今回、読んでみてほんわかあったか気分になれた。
 ....もしかして...年か?考えたくはないが。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 絵本・児童書
感想投稿日 : 2009年3月22日
読了日 : 2011年10月17日
本棚登録日 : 2009年3月22日

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