高校までの歴史授業では、明治維新時の内政改革を列挙した後、議会開設と大日本帝国憲法が・・くらいまでしか、聞いた記憶が無い。おそらく時間切れ、あとは自習ということであったろう。日清・日露、大正デモクラシー、太平洋戦争、また、小村寿太郎、原敬・・という単語はもちろん記憶にとどめる。しかし、「韓国併合」について、高校生がどのように理解するかと言えば、征韓論→日清日露の勝利によって日本も版図を広げ帝国主義列強の一員に??という、単視眼的な理解でのインプットを促す書き方でしか、サブテキストなどにも載っていなかったと思う。東学党だの義和団だの閔妃だのというのも片隅に書いてあったとは思うが、あまりにも断片的で頭に入らなかった。
本書を読んで思いを至らせることになるのは、当時、清、露、欧米列強、日本がグローバリズムの中で少しでもよいポジションを占めるために複雑な政治、軍事の施策を矢継ぎ早に行っていたことである。朝鮮半島は地理的に、そして歴史の時間軸の中で、非常に不幸な位置におかれたようだ。高宗をはじめ、当時の朝鮮の指導者エリートたちは様々なやり方で必死に自分たちの国家をまとめようとした。が、及ばず、現代の私たちがイメージする独立国家への遷移は、そこでは叶わなかった。
もう一つ、本書で印象に残るのは、他国に乗り込み、駐在して、自国にもっとも有益な結果を生むために、その国の国情を分析し、協力者を作り、工作し、世論、数的優位を整え、交渉カードを準備して、為政者に抜き身を引っ提げ交渉するという生々しい「外交」の姿である。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
歴史・文化
- 感想投稿日 : 2023年1月22日
- 読了日 : 2023年1月22日
- 本棚登録日 : 2022年12月30日
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