平易で端麗な文章で一般にもよく知られた哲学者が書く、塵ひとつ落ちていない清潔なエッセイ。生涯の友としてきた有名な古典(随筆、エセー、断章の類が多い)の数々について、借り物でない言葉で解題を試みている。
誰にでもよめる軽いエッセイだが、さすがに使われる言葉は選び抜かれている。章全体を包み込むコラーゲンのようなものが乏しくて(これを著したときの著者の年齢のせいもあろう)一文一文が孤立している趣もあるが、日本語としては最上質なものではないだろうか。
各々の古典に対しての、著者が抱く印象を「印象派」のように提示しているが、別に難しい見方をしているわけではなく、素直な解釈である。
パンセ、方法序説、モラリア(プルタルコス)、随想録(モンテーニュ)、美味礼讃、マタイ伝、省察と箴言(ロシュフコー)、君主論、エピクロス、アミエル、方丈記、徒然草、意志と表象としての世界、千字文、論語、詩経、荘子、告白録(アウグスティヌス)、自省録、昆虫記、エミール、道徳論集(セネカ)、ユートピア。
桃の夭夭として・・・:詩経
蝶の夢:荘子
天地玄黄:千字文
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
古典
- 感想投稿日 : 2012年7月20日
- 読了日 : 2012年7月21日
- 本棚登録日 : 2012年7月20日
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