発展する地域 衰退する地域: 地域が自立するための経済学 (ちくま学芸文庫)

  • 筑摩書房 (2012年11月7日発売)
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感想 : 30
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再読。
主流の経済学の枠組みから出発したわけでもない、ジャーナリストとして出発した著者の、世界を読み解く鍵を説明してみせる技量に圧倒される。
著者の思想は、一貫して、エリート・デザイナ達による計画的な社会制御よりも、自発的でバイタルで細胞的な活動こそが社会のエッセンスであるという信念に支えられている。かといって、日本的なリベラルというわけでもないのが面白いところ。
「これから100年後に、もし歴史家が、日本の衰退の開始時点を知ろうとすれば、1977年が一つの目安となろう。」(pp322-323 第13章 苦境)税率の上昇が始まり、都市間の活発な活動が後景に退いて、政策としての補助金や国家防衛的目的への支出でドライブをかけようとするベクトルが顕著になり始めた頃であるとの説明だ。これが書かれて30年以上になり、著者が予言したように日本の衰退は進みつつあると多くの人が認めるだろう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 政治・経済・法律・社会
感想投稿日 : 2021年4月17日
読了日 : -
本棚登録日 : 2012年11月16日

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