著者の新しい労働社会を読んだ際も思ったが、現在問題となっている様々な労働関係の問題を考えるに際して、メンバーシップ型雇用システムという概念は、補助線として抜群の切れ味を有している。本書は、その概念をもとに、働く女子について考察が加えられている。ただ、メンバーシップ型雇用システムという観点から考えると、女性労働の問題は、必ずしも女性労働に原因があるのではなく、雇用システムの問題が女性にしわ寄せされているということがよくわかる。これは、東京医大の入試不正操作の際に起こった議論でも感じたことと相似形であった。さて、切れ味鋭い女性労働問題の解説の後、では果たして、どのような道を今後女性の労働は、また、日本の労働社会は、進んでいくべきなのか、そこに至って初めて、この問題は解きほぐしがたい、錯綜したものであると気づかされたのだった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
学術・評論
- 感想投稿日 : 2018年11月3日
- 読了日 : 2018年10月27日
- 本棚登録日 : 2018年11月3日
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