ライト兄弟が初飛行したのは1903年、それから29年後の1932年に、この本が出版された。
物語は1920年に始まった郵便飛行に関わる人々のリアリティあふれ、かつ、特有の詩的な表現により、未知なる世界への冒険と非情が描かれている。
本当の夜は目を開けているのに目を瞑っていると錯覚するほどの闇。
当時の飛行機は当然GPSも充分な無線機も、脱出用のパラシュートもない。下手をするとコックピットを覆うガラスすらないこともある。
飛行士ファビアンは空を飛ぶことで解き放たれ、彼とともに空から見る地上の営みは、宙に浮かぶ星々と同化する。
責任者リヴィエールは自己の信念に基づき、行動する。その影にはやさしさも隠れている。彼により、地上は雨のように流される世情に、石のような堅固さを築く。
名作『星の王子さま』と双璧をなす代表作、特にリヴィエールの苦悩から迸る名言は、生涯の友となる。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
海外小説
- 感想投稿日 : 2020年8月20日
- 読了日 : 2020年8月20日
- 本棚登録日 : 2020年1月2日
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