人口18万の街がなぜ美食世界一になれたのか―― スペイン サン・セバスチャンの奇跡(祥伝社新書284)

著者 :
  • 祥伝社 (2012年7月1日発売)
3.70
  • (19)
  • (45)
  • (43)
  • (3)
  • (1)
本棚登録 : 465
感想 : 50
3

もちろん美食の話も興味があって大変面白いのだが、もっと興味を持てたのが「不利な状況でも勝つための戦略」の話。
つまりはこれも人生論と重なる部分だ。
人は自分の悪い点には気が付くが、いい点については案外気が付かないものだ。
不利な状況は分かっている。
その中で、何か特長はないのか?
そういう点を突き詰めていく。
そしてひとつずつ実行に移して、トライアンドエラーを繰り返していく。
確かにサン・セバスチャンは愚直に、そしてしたたかに戦略立てて攻めていった。
まさに「なるほど」なのだが、その中でキーワードはいくつかある。
「科学技術を活かす」そして「オープンソース化」
テクノロジーはもちろん万全ではない。
しかし今までの状況を変えるきっかけにはなりえる。
分子構造を理解して「味」を科学的にとらえる方法は今までやってこなかった。
アナログ的にシェフの経験でしかなかったものが、新素材を開発するかのように「発明」していく。
そして更に大きな点は、それらを抱え込まなかった点だ。
知識を共有化して、この地域全体で発展するために活用した。
これだけでも大きな変化を出せたのだ。
なんか日本は幼いというか、思考が浅はかなのだ。
ゆるキャラで地域再生にはなる訳ない。
もう一歩も二歩も高い次元での思考回路が必要なのだろうと思う。
(2019/11/15)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年4月25日
読了日 : 2019年11月15日
本棚登録日 : 2020年4月25日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする