文化立国論: 日本のソフトパワーの底力 (ちくま新書 1148)

著者 :
  • 筑摩書房 (2015年10月5日発売)
3.73
  • (1)
  • (6)
  • (4)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 79
感想 : 10
4

1964年の東京オリンピックを挟む1955年から1973年までを高度経済成長期といい、GDP成長率は年平均9.1パーセントであった。しかし、それを支えたのは人口増加であり、すでに人口減少時代に入った日本が、GDPの高い成長率を取り戻すことはない。
ゆえに、これからの日本人の暮らしを豊かにするのは物質ではなく、文化である。文化による精神的満足が大事になる。
また、近年加速するグローバル化はアメリカ化とほぼ同義であり、それは反作用としての反グローバル化の流れをもたらした。アイデンティティを自国の文化に求め、自国ファーストの考えが世界を分断しつつある。
イギリスのEU離脱もしかり、スコットランド独立のための選挙しかりである。グローバル化の震源地であったアメリカ自身が、トランプ政権によって露骨に自国の利益を優先している。
こういった背景の中で、各国が自国の文化を主張し、世界にアピールする戦いが繰り広げられている。
20世紀は軍事力、経済力の時代であった。
21世紀は文化力の競争の時代である。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年6月12日
読了日 : 2017年6月12日
本棚登録日 : 2016年4月26日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする