民主主義は終わるのか――瀬戸際に立つ日本 (岩波新書 新赤版 1800)

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  • 岩波書店 (2019年10月18日発売)
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戦後民主主義、いわゆる55年体制がどのように生まれ、機能し、衰退してきたのかを分かりやすく解説しており、特に第4章の政策分類と政治勢力のマトリクスは秀逸である。どこで道を誤ったのかが一目で理解できる。しかし全体的に掘り下げが浅く、政策提言としては物足りない。
最後まで通読して感じるのは、自民党、野党ともに著しい劣化が進んだ元凶は小選挙区制の導入であると確信する。これにより自民党内の多様性が消失し、官邸の暴走を許し、「悪夢の民主党政権」の反動で政権交代への拒否反応=現状維持が選挙で最優先されるようになった。そもそも2017年に総選挙における自民党の小選挙区得票率は48%しかなく、こんな政党が75%の議席を獲得して数の力を振りかざすことを許す制度は民主主義とは相容れない。一刻も早く中選挙区制に戻すか全議席を比例代表にすべきだ。でないと政治家と国民の劣化が行きつくところまで行ってしまい、ヒトラーのような人物が国を指導する社会が間もなくやってくるだろう。市民革命を経験していない日本人に二大政党制を操るには荷が重すぎる。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会時事
感想投稿日 : 2021年7月24日
読了日 : 2021年7月24日
本棚登録日 : 2021年7月24日

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