AI時代の法学入門-学際的アプローチ

制作 : 太田勝造 
  • 弘文堂 (2020年7月22日発売)
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感想 : 5
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 内容はいいのだが、書名がふさわしくない。「AI時代」とあるが、必ずしもAIと法学の問題を中心に論じられているわけではない。また、大学初年度の学生及び高校生を読者として想定した「入門」とのことだが、本書の内容を初年度の学生及び高校生が読んですぐわかるとか、読み続けたくなるとは到底思えない。各章のプロローグでは、法学部1年生のAさん、B君の会話形式で、各章の問題提起がなされる。しかし、その会話内容は、かなり知的レベルが高い。というか高すぎる。本書の執筆者の所属する大学では、こうした高レベルな学生ばかりなのだろうか。おそらく多くの学生・生徒は、本書を読了できないばかりか、法学って結局難しいよね、という感想を抱くと思う。
 結局、本書も「入門」とあるのに、研究者たる執筆者の目線から逃れられず、読む側の学生にとってのわかりやすさは度外視されている。
 とはいえ、法学のみならず、科学の最新の知見を交えた意欲的な内容で、優れた法学書であることは間違いない。マーケティングの点から難しかったのかもしれないが、「入門」とせずに、「新時代の法学」くらいの書名にして、法学部3、4年生、大学院生や研究者向きの書籍として発行した方がよかったのではないだろうか。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 学ぼうよ!
感想投稿日 : 2020年11月2日
本棚登録日 : 2020年11月2日

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