『狼たちの月』が気に入ったので読んでみました。これはさらにいい小説です。
スペインの寒村、アイニェーリェ村に残った老人とその妻、雌犬。妻は孤独に耐え切れず、自ら死を選ぶ。老人と雌犬はとうに喪われた場所で日々を淡々と過ごす。やがて死者と過去が生活を侵食していき、老人は死を迎える準備を始める。雌犬が孤独に侵されないよう撃ち殺し、自らを墓穴に入れてくれる人を待ち続ける。
読むうちに時間の感覚がなくなり、老人が生きているのか、死んでいるのかすら曖昧になっていく。衰退と死を象徴するポプラの枯葉、黄色い雨に晒され、崩壊した村は一つの世界の終焉のように、ゆっくりと消えてなくなっていきます。詩的なのですが簡潔でわかりやすく、言葉を非常に大切にされている作家さんなのだと思いました。満足。
あと訳者の木村榮一氏の後書きも面白かったです。スペインの書店の主人からお薦め本について話されています。やはり国に関わらず読書家の人の話は興味深いなー、と思いました。
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カテゴリ:
一押し!傑作小説
- 感想投稿日 : 2008年7月27日
- 本棚登録日 : 2008年7月27日
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