2023年、フランスでイスラーム政権が成立する。政治や経済にとどまらず、教育や芸術、食も瞬く間にイスラームに完全に塗り替えられることになる。
主人公のフランソワは、政治や宗教とは距離をとってきた一般的なキリスト教徒の大学教員だが、人生半ばにさしかかり、妻や本当の意味での友人なく、自らの知的活動以外に特に守るべきものはない。社会が劇的に変化していく中、恋人は海外へ逃れ、大学教員の職も失い、生きる意味を喪失するも自殺するほどの動機もない。キリスト教に固執する情熱もなく、友人の勧めのままイスラームも悪くはないと思えるようになり、自らもムスリムへの改宗を果たす。
インテリ層でも社会の大きな流れに楯突くことは難しく、また楯突こうともせず、大きな流れに飲み込まれていく。社会の圧倒的な潮流の前では、個人の教養や知識といったものはあまりにも無力である。
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- 感想投稿日 : 2021年5月16日
- 読了日 : 2021年5月16日
- 本棚登録日 : 2021年5月16日
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