風に立つ (単行本)

著者 :
  • 中央公論新社 (2024年1月10日発売)
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本棚登録 : 1986
感想 : 115
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罪を犯した少年の補導委託を受け入れた、南部鉄器の工房が舞台。子を思う親心が核となるお話だった。

親が子供の将来を思う時、
良い大学に行って、給料が良い安定した職に就いて欲しい、苦労をさせたくないと願う親もいるだろうし、
自分のやりたいことを、後悔のないようして欲しい、と思う親もいるだろう。
どちらも、子を思う親の愛情からのものだ。この二つの考えの両立はなかなか現実的に難しい。だが、それをどうするか?という問いを投げかけられた。

時々出来過ぎだな、としらけそうになることもあったが、先が気になりどんどん読み進めた。

『子供が幸せなら、ずっと幸せなままでいて欲しいと願い、子供が失敗すれば、大丈夫だろうかと心配する。どっちに転んでも、これで安心ということは無い。(親とは)損な役割です。』
この台詞が、とても心に残った。親が子の幸せを願う心は、見方によってはとても貪欲なのだ。

気になったところ
○何かを作り出す者は、刺激や影響を受けつつも、己を貫き通す心がないと、中途半端なものしかできない。
○何かがこじれる理由は、相手の考えていることがわからないから

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年4月2日
読了日 : 2024年4月2日
本棚登録日 : 2024年1月27日

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