なんだかひどく体調が悪く、難しい本は読めそうにないので、さらっと読めて気持ちが明るくなる本を…と思い、ずっと気になっていた『横道世之介』を選びました。
最初からずっと惹かれっぱなし。読書の楽しさを思い出させてくれました。最近、エンターテイメント的な本を読んでも何となく時間を無駄にした気になり、心と頭の滋養になりそうな本を選びがちになっていたけれど、やっぱりためにはなるけど面白くはない。この本は、心から楽しく面白かったです。身体の痛みに悶絶しながらも、あっという間に読み終わりました。
世之介のように、こんなに人を心地よくする人間がいるのだなぁと希少生物を見る心地と、でもどこかにいそうな感覚とが混ざり合いました。
ただ残念だったのが、途中で映画化されていることを知り、キャストを調べてしまったこと。読みながら、映像化するならどの俳優さんがいいかなぁ…とあれこれ考えて、結局ピッタリくる人が思いつかなかったのですが…調べたら、主役の方、大好きでこの役にはこの人しかいないだろうっていう俳優さんでした。やっぱりプロの作り手さんはピタッとくる方をちゃんと思いつくのですね。すごい!
でも、知ってしまったら、読んでいても、(特に彼女役の方は)その俳優さんの顔や、こんな風に演じそうという演技ばかり浮かんでしまって、知らずに読んでいた時の瑞々しい文体から想像を膨らませる幅が削られてしまい、もったいないことをしてしまいました。途中で調べた自分が悪い。
もし未読の方は、なるべく情報を入れずに読んでくださいね。とっても満足度の高い贅沢な読書時間でした。
- 感想投稿日 : 2023年9月26日
- 読了日 : 2023年9月26日
- 本棚登録日 : 2023年9月26日
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