茨木のり子さんが32歳の時、従姉妹の建築家と一緒に設計した家の写真、間取り、子供の頃の日記、詩人仲間と撮った写真、書棚など、興味深いもの盛りだくさんの一冊。所々に茨木さんの詩も載っています。
特に気に入ったのが、作り付けの棚の数々。
書棚だったり、腰高窓とその下に作られた棚だったり…。これ、私が好きな感じのやつばかりじゃん…、と興奮しました。最近の家であまりこういうの見ないし、あったとしても何か趣きが全然違う…
他に、特に好きだったもの。
ご自身が生前に書き置いた、
〈このたび私 この世におさらばすることになりました〉
で始まる、お別れの挨拶。転居の挨拶さながらのその潔さに感服しました。
〈だいたいお母さんてものはさ しいんとした
とこがなくちゃいけないんだ〉
という二人の少女の会話からはじまる、
『みずうみ』という詩。
〈人間は誰でも心の底に しいんと静かな湖を持つべきなのだ〉、という主張に納得。子供を生んでからばたばた必死に生きていたら、いつの間にか自分の中の、その湖が無くなってきた、少なくとも枯渇してきた気がする…と反省しました。
とても楽しい、大満足な一冊でした
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2023年4月6日
- 読了日 : 2023年4月6日
- 本棚登録日 : 2023年3月2日
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