サブ・タイトル「プロモーターの人生」に、
やや違和感を感じる。
実際には故津田氏の人生を、
タレントになる前の赤井英和氏との関わりまでに限って
追っている。
津田氏の人生の大きな光であると言える
井岡弘樹氏は全く出てこないと言っていい。
読み進めているうちは
「著者は、津田氏が嫌いなのだな。
生前に冷たくされたか何かでくすぶっている感情があるのだろう。」
と感じていた。
津田氏の、虚言の数々、
現代風に言うと「盛っている」ということになるのだろうか、
「ホラ」ではすまされないような詐称。
それから愛情の強さから抱いてしまう冷酷さ。
恩に報いない利己的な部分、他人を利用する部分。
自らの成功のみを追わざるを得なくなった人の悲しさ。
著者は、通常人が晒してほしくない内面を
いやというほどあぶり出し、また、解析する。
故人が生き返ったら、または赤井氏が読んだら、
「そこはそやないねん」と言いたい部分もあるだろう。
しかし、
最後まで読んでやっとわかった。
著者は、そういう矛盾を抱えた津田氏が、
抱えているからこそ
好きだったのだ、ということが。
味わいのある1冊。
ただし、ボクシングに一時期でも狂って、
興行の仕組みなどにも興味を持ったことがある方以外には
あまり薦められない1冊でもある。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
他の方の考え方
- 感想投稿日 : 2014年7月30日
- 読了日 : 2014年7月27日
- 本棚登録日 : 2014年7月21日
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