オウム真理教が地下鉄サリン事件を起こすまでをモデルにしたノンフィクション・ノベル(でいいと思う)。
たまたまオウム関連の本を読んでたので、目についたのですが……何かもう、いろいろとたまらない話です。
この作者は悔しいけど好き。体言止め多用の文体とかがひっかかって離れていたのだけど、読みはじめたらスピード感にやられて一気に読んでしまいました。
集団で狂っていく過程は怖い。しかし、キャラクターの気持ちを洗脳という言葉ですませないのがいいです。きっとすごく取材して、こうなった理由についても考察しているのだろうけど、ひけらかそうともしないし、読者に説教しようともしない。
で、どうしたらいいの? って聞いたら、知るか!って言われそうな感じ。これがノワール小説なのでしょう。
キャラクターは現実のオウムの幹部とリンクする人もいれば、混ぜたりフィクション入っているなという人もいます。群像劇でもあるので、うっすらと彼らを思い浮かべながら読むと興味深いです。
たぶん、慎平は井上嘉浩でしょう。
政治家や警察との癒着はフィクションだと思いたいです。サリンのことを警察の上層部が知っていて、お金のために見逃したのだとしたら、被害者が浮かばれなさすぎる。
グルの十文字が弱視であるという設定がないので、麻原のパーソナリティとリンクしないのが惜しいところです。それでも十分面白いです。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2011年12月29日
- 読了日 : 2011年12月29日
- 本棚登録日 : 2011年12月29日
みんなの感想をみる