今までの「それでいい」シリーズは、難しいケースや、人間関係において悩んだ時にどう考えれば光が見えてくるか色々参考になり、クライアントさんにも勧められる本でした。しかし今回は、夫婦やカップルという深い二者関係で起こる問題について、解決のヒントや知恵となる知識が少なく、問題を抱えていない一般人2人の発言によって、水島先生の意見が浅いものにされているように思えました。深い二者関係(お互いの弱さ、醜さ、難しさと向き合わざるを得ない状況)を体験していないジーさん、トモコさんに「いろいろな結婚観があっていいと思うんです」と言われたところで困っている人たちの何の助けになるというのか。(もし「いろいろな結婚があっていい」とするならば、不倫や一夫多妻、通い婚、近親婚、花嫁レンタルなどについても語るべきであろう。)対人関係療法の大家ならではの経験知が引き出されておらず、水島氏に『それでいい』と言わせたいがための、「こんな関係もあってもいいよね」という個人の好みが語られる本になってしまっている。DV、モラハラ、カサンドラ症候群、愛着不安の人などカップル問題で困っている人への対処としての、対人関係療法的考えを教えて頂きたかった。特に愛着不安を抱える人にとっては切実な問題のはず。聞きたがっている人は沢山いたと思うのに、残念。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2020年12月8日
- 読了日 : 2020年12月8日
- 本棚登録日 : 2020年11月14日
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