BANANA FISH (1) (小学館文庫 よA 11)

著者 :
  • 小学館 (1996年12月5日発売)
4.15
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本棚登録 : 2280
感想 : 326
5

名作、と言われる長編漫画に溺れたいシリーズ第二弾。(第一弾は田村由美のBASARA)

ネットでの評判は散々目にしてきてもう期待で胸はいっぱい。
日曜だし、他の予定なんてない。何にもする気はない、漫画を読む以外には。
どっぷりと作品の世界に溺れる心の準備は出来ている!どんと来いといった感じで満を持して読み始めたBANANAFISH。

そして、構えていたよりも、淡々と読了したのが自分でも意外だった。もちろん切ない気分になって、アッシュを思ってなんだか落ち込んだりはしているけれど、なんというか、長い映画を観終わったような気分だ。

もちろん夢中で読んではいた。休むことなく全巻一気に読んでしまうくらい話に引き込まれた。長い作品だが、途中で飽きるなんてありえない。最終巻が近づくにつれ、作品が終わってしまうことが悲しくて読みたくないような気分にもなった。

それなのに思い描いていた読後の心理状況と、実際の気持ちにギャップを感じているのは、読む前にネットの評判を読んで泣ける泣けると散々見ていたこと、これから傑作少女漫画を読むんだ!という鼻息荒い姿勢で読み始めたことが原因だと思う。

そもそも期待していたのは、読みながら胸がドキドキして締め付けられるような気持ちになって、気がつけば号泣してた…みたいな、気持ちの振り幅が大きくなるようなものだった。
でも実際は、ただ淡々と、切ないなぁとシミジミ。

アッシュと英二は、少女漫画的なカップルではなかった。花柄やらキラキラの背景で切なげな顔した美少女、美少年が相手を思って云々かんぬん、というのはなかった。いや、BLを期待していたわけではない。でも少女漫画における胸キュン恋愛は主軸ではないですか。

あれ、今思うと、もしかして、主人公たちの直接的な心理描写(心の声)って、滅多になかったんじゃないか。

だからこの漫画は少女漫画とは言わないようだ。ハードボイルドな内容は言うまでもないが、何より表現方法が全然違うじゃないか。
ヒーローは美しく完璧な天才少年、という点意外に少女漫画的な要素、あるか?
同性愛は少女漫画の特権?
この漫画はだいぶ男性的だ。

これを読む直前までBASARAにどっぷりはまり込んでいた私は、少女漫画脳でこの作品を読もうとしていた。
楽しみ方が違う作品だ、BANANAFISHは。

どちらにしても息つく暇もなく、寝食忘れて読める傑作。
この作品は男性女性問わず受け入れられそうだとは思う。ベタベタの感傷的な雰囲気はないので。

だが、とりあえず二巡はしないと。一巡目は様子見、二巡目はもっと好きになるための読み込み作業。

何がこの漫画の素晴らしさなのか、一読では私は良くわからないから、ただ面白かった、としか言えないのだ。
こんなのレビューだなんて言えないから、明日からも通勤電車でもう一度一生懸命読み直そう。

また、誰もが言う二点は自身も実感。①作品初期のアッシュの大友克洋感から、気がついたらイタズラなkissの入江君みたいなシュッとした美青年になったのは、嬉しく思った。ただ、鼻の穴も表現されるようになったのはない方が好みだった…。②後書きと背表紙の、ネタバレ。勘弁してくれまじで…。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2014年8月31日
読了日 : 2014年8月31日
本棚登録日 : 2014年8月31日

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