WORLD TOUR 2012 LIVE at MADISON SQUARE GARDEN(初回生産限定盤) [DVD]

出演 : ラルク・アン・シエル 
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感想 : 5
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 ラルクアンシエルがアメリカのマディソンスクエアガーデンでライブを行った。その模様を収めたDVD。

 ラルクアンシエルについては、自分はファンではないし、曲なんかはREADY SEADY GO以降はほぼわからない状態。
 学生時代にヒットチャートを賑わしていた曲が多少はわかる程度だ。

 そんな自分が、本来ファンしか買わないようなライブDVDをなぜ買ったかというと、偶然YOUTUBEで見たからだった。

 昔テレビで歌っていたhydeはと言えば音程を外しまくっていたり、声量も十分でなかったりしたが、本作ではかなり高いレベルの歌唱を披露していた。
 いろいろな設備、機器の充実で歌いやすさも以前に比べ向上しているのかもしれないが、本人もこの数十年でエンターテイナーとしての力量を上げる努力をしていたのだろうと思う。
 tetsuyaのベースは、基本ギター一本のバンド構成を補う轟音で自在にうねって空間を埋め、繊細なコーラスでhydeのボーカルをサポートしている。
 kenのギターは彼のその見た目とは裏腹に非常にポップかつ多彩な表情の音色で楽曲の世界観を作り上げ、抒情的で歌い上げるようなメロディが陶酔感を生んでいる。
 yukihiroは細身の体でパワーこそ欠けるきらいがあるが、その迫力不足を補う手数の多さと工夫を凝らしたドラミングで軽快なリズムを生み出し、曲に聞き入るためのしっかりとした土台を作り出している。
 昔はどこを叩いても小太鼓のような音だと思って多少批判めいた気持ちもあったが、今はむしろ彼のスタイルというのはそういったパワーで観客の体に響かせるということではなくて、軽快感であると思っている。そこが良さなのだ。

 彼らの楽曲、演奏スタイル、ボーカルいろいろな部分に関して、賛否両論あるかもしれない。好き嫌いも別れるだろう。
 しかしこのライブで披露されているどの楽曲を見ても素晴らしい完成度であり、オリジナリティも感じるし、客観的に見て評価されるべき存在だと素直に感じる。
 日本の音楽業界、ポップミュージックやロックミュージックにおいて、トータルでこれだけ高いレベルを示しているアーティストは正直あまりいないと思う。

 買ってから、何度も見てしまっている。飽きないし、むしろ見たいという欲求がどんどん湧いてくる。

 冒頭期待を煽って、いよいよ登場する。ミドルテンポで重厚な「いばらの涙」を披露し、4曲目「HONEY」で直線的かつ明朗なロックを披露すると、一転5曲目から地下世界をイメージさせるような妖しく妖艶で、またへヴィな楽曲が続く。10曲目「forbidden lover」(ユキヒロのシンプルなドラムが好きだ)で底まで達すると、11曲目、「MY HEART DRAWS A DREAM」で爽やかな風が会場に吹き抜ける。それまで抑圧されていた観客たちは、以降立て続けに展開される軽快且つ疾走感あふれる楽曲に体と表情を弾けさせ、抱きしめ合い、キスまでする。
 メンバーの掌で踊らされているように、そのセットリストに浸り切り、パフォーマンスに手を突き上げて反応する。

 最初から最後まで残らず楽しめた、素晴らしい内容だった。

 ただ、一部、ボーカルが消されていたり、編集されていたりと、いろいろ事情はあるのだろうけど、そこが残念だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 音楽DVD
感想投稿日 : 2014年3月23日
読了日 : 2014年3月23日
本棚登録日 : 2014年3月23日

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