トラウマ恋愛映画入門 (集英社文庫)

著者 :
  • 集英社 (2016年9月16日発売)
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本棚登録 : 133
感想 : 9

手に入る作品は全て観たので復習。本書を読んで映画も観て、過去自身が女性を意識的、無意識的な部分を問わずどれだけ傷つけてきたかを知り、そしてこれからも繰り返されるであろうある種の「どうしようもなさ」と向き合わざるを得なくなった。

例えば最初の『チェイシング・エイミー』。監督は元カノを主演女優に敢えて抜擢し、彼自身の失敗を基にした映画を撮った。
男は経験人数を誇るが、女が同じことをすると売女のように軽蔑する。
それが引き金となり破局へと至った、その自戒と、この映画を作るきっかけとなった彼女への感謝の気持ちを精一杯込めながら。
破局原因については共感できなかったけれど、心から反省する姿勢を学べる映画(でもオチは………何だあれw)。

或いは恋が実り、そして散って行くさまをバラバラな時系列でリアリスティックに描いた『ブルー・ヴァレンタイン』。
一緒になれたからことで安堵し、出会った頃の優しさが徐々にぞんざいになり離婚に至るカップルを直視するのはなかなか堪えた。
やっぱり町山氏が言うように「出てくる男はちょっとずつ自分」なのだから。

ジム・キャリーの「(消したい恋の記憶はあるかと聞かれ)ない。どんなに辛い恋でも、素晴らしい瞬間はある。楽しい経験も辛い経験もひっくるめて、それが今の自分を作ったんだ」というコメントは、それこそ『エターナル・サンシャイン』のようには頭から消したくない、自分を戒めてくれる名言。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2016年12月13日
読了日 : -
本棚登録日 : 2016年12月13日

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