怖るべき子供たち (角川文庫 (コ2-1))

  • 角川書店 (1992年12月17日発売)
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原題 LES ENFANTS TERRIBLES

やるべきことをやるのが大人で、やりたいことをやるのが子供。イギリスの格言だったかな?紳士の定義だったような…。

大人は誰しも初めは子供だった、と言ったのはサン-テグジュペリですが、コクトーは永遠の子供を詩ってみせた。

純粋で無垢なまま。まさに詩の表現そのもの。

エリザベートとポールの姉弟は破滅したようで、してないんじゃないかな。当然の帰結のようで、行き着く先は望んだところ、だったように思える。

みんな子供の頃には自分だけの世界があったはず。望んで大人になったわけじゃない。今思えばすごく不安定だけど、安らぎも確かにあった。

自分だけの、自分だけが理解できる世界。世間のルールなんて知らない。そこだけで生きられるなら、もう何もいらない、というような。

自分の思い通りにいかないジレンマ、他人が意のままにならないストレス、どうしようもないことに悲観し、躊躇なく自らの命を絶つ。

欲望に忠実で、美しいまでに迷いがない、怖るべき子供たち。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年1月31日
読了日 : 2021年1月31日
本棚登録日 : 2021年1月31日

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