【入手元】不明
【概要】
・おくらばせながら、サブプライム問題がよく分かった
・サブプライム問題だけでなく、金融全体の仕組みが分かる。今読んでも、いい本だと思います。
【詳細】
・サブプライム問題がもたらした3つの危機
信用危機、流動性危機、資金繰り危機
・証券化 →所有と経営の分離。原資産のビジネスを知らなくても投資リターンだけを享受できる。
・短期金利を下げる →預金や短期市場から低い金利で資金調達し、
それよりも高い金利で長期で貸し付ける銀行への中央銀行から銀行への支援金(利益供与)。
しかも、この支援は財政負担を必要としない。
・これまでの金融の歴史では、金融業界の誰かが窮地に陥ったら、
金融業界のドンが全員に奉加帳をまわして金融機関が差し出すべき金額を記入させ、
救済に必要な資金を集めた。
・国富ファンド(ソブリン)
-アメリカ
→ドルを発行しまくり、世界のものを買いまくる
→基軸通貨なので通貨が暴落することはない
→貿易赤字になる
-他の国
→アメリカへの輸出で貿易黒字になる
→余ったお金の運用が必要
→国富ファンドが運用を担当
→国内で使うと金余り、過剰流動性となって、資産価値を押し上げてしまう。
(不動産バブル、株バブル、債権バブル、絵画バブル、、、)
→かつて日本は、この状態が起きた。日本には高度成長期に資金不足で苦労した時代の経験があり、
国内から海外へと余った資金を投資できなかった。
-アメリカは国富ファンドをアメリカのルール配下におきたい
→自国の消費者を配下の国に解放して貿易黒字を授けているわけで、「お前たちが実力で稼いだ金じゃない」
・銀行はその国の金融インフラの中心に位置している。国民から預金を集めており、
多くの企業や国民が入出金、送金などを含む資金決済サービスの提供を受けている。
このため、銀行はさまざまな産業の中でも政府にとって特別な存在である。
さまざまな保護がなされている産業であると同時に、一般企業とは比べ物にならないほど
規制が厳しい。極端に言えば、端の上げ下ろしまで監視されている。
・イスラム金融
イスラムの世界において、保証された金利というのは、将来を見通せるこそ決定できるものとされる。
将来を見通せるのは神だけであり、人間は不確定な将来に対するリスクを受け入れなければならない。
なので、利息は禁止。
・リスクをとるコスト
(1)お金の借り易さ(お金の量、流動性)
(2)金利の実質的な高さ
・証券化のポイント
(1)住宅ローンをかき集めてリスクを分類。個々のリスクによらず、
リスク高~低の債権をほしい人が買える
(2)モノラインが保証をすることで、債権の信用リスクはAAAになる
(3)レバレッジをかける
→投資家は、自分で考えないでも信用力が高くリスクの低い債券を購入できる
→AAAなので、レバレッジの資金調達の金利が安い。
→問題は、売れ残りをさらに再構築していたところ。
売れ残りのケーキをきれいにラッピングしなおしているようなもの。
・不動産バブル崩壊後の修復過程
-金融機関がまず復活し、その後に不動産市況が底を打つという順番
-不動産市況そのものの救済は不可能。金融機関救済の数百倍の資金が必要。
・モノラインの格下げ →モノラインの保証を受けているすべての証券の格下げ
【覇権の歴史】
・パクス・ロマーナ
-395年の東西分裂が衰退の始まり。
-東ローマ帝国滅亡(1453年)後も、次の覇者が決まるまでには長い月日を要した
・パクス・ブリタニカ
-地理的な好条件 →ヨーロッパの混乱に巻き込まれないで済んだ)
-何度ものポンド危機後、衰退
・パクス・アメリカーナ
-こちらも地理的に優位だった
-衰退の兆候は71年のニクソンショック(金とドルの交換停止と為替の変動相場移行)
-覇権の維持コストが増大し、アメリカの経済力がそれに見合ったペースで増大できなくなった。
-通貨下落は衰退する覇権のひとつの表れ。
・次の覇権国は中国か?
-金融面の地位強化を目指している
-リスクをとらない臆病な金融弱国は、負債の形での出資を強制され、
資本を持つ国にレバレッジを可能にする資金を提供するだけとなる。
そしてコアとなる資本と、その数倍の負債をどこに活用するかという
「資金の配分権」を牛耳るのはコアとなる資本部分を握っている金融強国。
・イスラムは?
-利益率より社会規範が優先される。ビジネスのコストは上昇する。道徳社会規範の地位が上昇する
-実は近年のCSRに近い考え。イスラムのほうが実はこのような考えが進んでいるとも見れる。
- 感想投稿日 : 2012年5月6日
- 読了日 : 2012年5月6日
- 本棚登録日 : 2012年5月6日
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