29歳

  • 日経BPマーケティング(日本経済新聞出版 (2008年11月1日発売)
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本が好きで「出版の学校」に通いながら書店でアルバイトをする
「私の人生は56億7000万年」/山崎ナオコーラ
周りで結婚・妊娠が相次ぐ中事務をしながら遠恋中の彼氏を思う
「ハワイへ行きたい」/柴崎友香
タイでカフェをやろうと友達に誘われ雲南で出会ったカフェを思い浮かべる
「絵葉書」/中上紀
ボストンへの転勤が理由で別れた元彼が帰ってくる
「ひばな。はなび。」/野中柊
不倫の関係に納得していながらもジムで知り合った男とも逢瀬を重ねる
「雪の夜のビターココア」/宇佐美游
結婚相手を探して入った会社で専務から頼みがあると食事に誘われる
「クーデター、やってみないか?」/栗田有起
デパートの花屋でパキラを買った男性と恋仲になる
「パキラのコップ」/柳美里
PCメーカーのサポートセンターに派遣で務め、不倫をしつつ新配属の男とも仲良くなる
「憧憬☆カトマンズ」/宮木あや子
「日経ウーマン」に連載された29歳の女性の生活を綴った短編集。
ブックデザイン:名久井直子 カバーイラスト:片山エリ

働く未婚の29歳がこれからの自分について漠然とした不安と期待を持ちながら
日々を過ごしていく小説集です。
不倫の多いこと。いい男はみんな結婚しているからって
そんなことは理由にならないですよね。
理性でわかっていても好きになればしょうがないのかもしれませんが。
物語の中だから普通に受け止められるけれど
もし身の回りのことだったらと思うとやっぱり否定的になります。
そして「日経ウーマン」読者はこれを読んで共感するのだろうか。

面白かったのは専務から社長のリコールを持ちかけられる
「クーデター、やってみないか?」と
待遇が悪くなるからと正社員になるのを断り続けている
「憧憬☆カトマンズ」。
「クーデター、やってみないか?」は
腰掛で入った主人公がいきなり熱心になるわけでもなく
結婚相手探しの延長というスタンスを崩さないところに現実味がもてる。
ただそういう人材をクーデターの仲間に引き入れた専務の目が
果たして正しいのかどうかは疑問です。
「憧憬☆カトマンズ」は『野良女』のあけすけ感を抑えた感じ。
就職氷河期世代というのもあって執着が少なく、
こういう風に自分の立場を客観的に見られたら人生観変わりそう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: オムニバス
感想投稿日 : 2011年1月3日
読了日 : 2011年1月2日
本棚登録日 : 2011年1月2日

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