リテリングを活用した英語指導—理解した内容を自分の言葉で発信する

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  • 大修館書店 (2020年8月24日発売)
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英語リテリング指導のいろは

リテリングの指導のバリエーションを増やすのに適した本。評価のことまで含む。リテリングに特化した本は私はこれまで読んだことがなかったので購入した。

以下は個人的な話
リテリングは学校教科書を使用したリーディングとスピーキングの統合的な活動の一つです。私の周りでも学校教育で取り入られていること多い。私は初任から3年くらいこの活動は学校教科書を使いながら、インプットからアウトプットまで持っていける理想的な方法を見つけたと思っていたが実践しているうちにいくつかの課題に直面した。

1つ目はリテリングのコミュニケーション価値の不足である。生徒は同じ教科書を持っているため持っている情報は同じである。それを伝え合うことにどれほどコミュニケーション的な価値があるのかということに懐疑的である。この本には教科書内容のリテリングの後に自分の意見を追加的に発表する活動を提案しているが、個人的にあまり魅力的には感じられない。この問題の根本にはリテリングのコミュニケーション的価値が不足していることにあるのではないかと思う。

2つ目はリテリングが要約の性質を帯びるものなのかどうかである。本書ではどちら場合もあると認めているが、個人的にはどちらに転がるかで全く活動の目的が変わってくると思う。要約を求めるのなら、語数制限を設け端的にまとめているリテリングが評価させるはずだし、逆にないのであればプレゼンテーションとして要約では省かれることの多い具体例を適宜用いながら聞き手にわかりやすく伝えるもの評価されるのではないか。1つ目の論点と通じるが、やはりリテリングのコミュニケーション的価値とは何かを指導者側が意識していないといけないと思う。

3つ目は自分の言葉でリテリングすること、そのように指導することの難しさである。全員が同じ教科書からのインプットを教材にしているため、内容にさが生まれない。差が出るとすればいかにパラフレーズできたかであろう。「教科書に書いてある難しい言葉を使わないでね」と言っても生徒はどのようにパラフレーズすれば良いのかわからないという経験をした。ペアやグループで共有活動しても限界を感じたことも多かった。時には教員がパラフレーズの仕方について明示的に説明をする必要があるように思った。ただ一方で、そこまでして自分の言葉で言うこと自体を生徒に求めるのであればリテリングではなく、あるお題に対して自分の考えを述べる意見文を書かせた方がよいのではとも思うところもある。

以上の疑問点から私はリテリングを授業で行わないようになった。リテリングの代わりに帯活動のペアでのディベートライクや活動や教科書の絵を活用した絵描写などを行っている。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年9月27日
読了日 : 2020年9月27日
本棚登録日 : 2020年9月27日

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