おばけのような物語だと思う。
漆黒から、時折姿を見せては消える、白いおばけ。まるで、手の平から金色の銃弾が現れては消える手品のよう。
姿が見えなくとも、そこに必ず存在する。姿、形だって変える。実は、すぐ隣にいるかもしれない。触れようとすれば、その果てのない実体に真空へと投げ込まれてしまうだろう。
その真空では、星座たちが自分の居場所でそれぞれの音色を奏でている。
その合唱に結実などない。でも、決して無駄でもない。不協和音や熊の咆哮に、耳が詰まり痛くなっても、決して耳を塞いではいけない。静かに耳をすましていれば、ワインのコルクを外すように、一瞬にして全ての星が繋がる。繋がる時が来る。6本目の指だけが知っている。
銀色に光るおばけは、きっとどこまでも永遠に優しい。
永遠に続く一度きりの彼らの舞台に、祈りと喝采を。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2011年10月21日
- 読了日 : 2011年10月21日
- 本棚登録日 : 2011年10月21日
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