小説を読む速度について考える。短くて明晰で乾いた表現をある程度の間隔を置いて、積み上げる、というよりは、地面に並べていく、という印象のあるこの人の文章を読んでいると、そう思う。わたしたちが文字を読む速度と同じ速度で、文章の中の人びとは生きてはいないし、風景は流れていかないし、言葉と言葉の間にある空白以上の空白を人びとは抱えこんでどうにかしようともがいたりしているのだ。そういうことを自分に対して挑発してくる本、のように思う。あと十回くらい読んだらわかるかな。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2010年10月11日
- 読了日 : 2010年10月11日
- 本棚登録日 : 2010年10月11日
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