バイアスについての名著『ファスト・アンド・スロー』の内容の繰り返しにならないかを懸念してたのですが、杞憂どころか、ノイズという全く新しい視点で書かれた目から鱗の内容でした。統計学的な中央値のずれがバイアスなのに対し、標準偏差の大きさがノイズです。
経営判断や司法判断などの一度きりの判断は、繰り返しや結果の検証がされないために、信じられないほどのバラツキを持っていることが認識されていません。本書はその衝撃の事実をデータで示してくれむす。さらに、判断者ごと、判断ケースごと、または偶然性によるもの、などの要素にノイズを分解して、ノイズ全体がその要素の二乗和になっていることが説明されます。
バイアスを減らす重要性が広く認識されてきた中で、本書はノイズという新たな課題を突きつけます。下巻でその方法論がどの様に語られるか、楽しみです。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
人文・思想
- 感想投稿日 : 2022年7月27日
- 読了日 : 2022年7月17日
- 本棚登録日 : 2022年7月27日
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