金融の話は複雑でなかなか理解が難しいですが、本書の説明はシンプルで素晴らしく分かりやすかったです。企業の会計から金融商品や金融政策までの幅広い範囲を、コンパクトなページ数に収めているところも凄いです。
ただ、本来複雑な話を分かりやすくしたトレードオフとして仕方がないのかもしれませんが、用語の定義などはクリアに分かる反面、金融のメカニズムや因果関係の説明は基本的にレトリックであって理論的ではありません。分かったような気がするけど実際は本書だけで本質を理解するのは不可能でしょう。
しかし、日銀当座預金を銀行が自由に使えるお金だと書いて、量的緩和政策が目標にするマネタリーベースを民間への通貨供給、とする説明はさすがに間違っているのでは?と素人目にも思ってしまいました。分かりやすくするために意図的に書いてるのかもしれませんが。
金融の話をする中で、企業の従業員や消費者がほぼ登場しないのが怖いです。お金の世界が株主、投資家、経営者たちを中心に動いている感じ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
経済
- 感想投稿日 : 2022年12月25日
- 読了日 : 2022年12月24日
- 本棚登録日 : 2022年12月25日
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