日本病――長期衰退のダイナミクス (岩波新書)

  • 岩波書店 (2016年1月21日発売)
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 18世紀、ダイナミックに動くシステムの予測のため、イギリスの牧師トーマス・ベイズにより人間の経験を事前予測とし、そこにデータを加えてよりよい事後予測を生み出す方法が提唱された。
 今日の認知・認識の科学の進歩と、コンピュータの演算能力の爆発的な向上が新たな可能性を生み出しており、今後は、ベイズ主義の予測を進化させ、人間の認知・認識を客観視し、より精緻な事前モデルを生み出し、バイアスを与えないデータで推論サイクルを繰り返し、新たな予測モデルを打ち立てることが、6人にひとりの子どもが貧困となり、高齢者の9割が貧困に向かい、地域が衰退するという深刻な実情を直視する当事者主権、現場主義からの議論が求められると経済学者と先端医療の医学者が日本病克服の処方箋を語り合った著作である。
内容は、
第1章「日本病」と予測の科学
第2章「日本病」の症状――アベノミクスの失敗
第3章 抗生物質の効かない日本経済――バブルとショックの悪性化
第4章「主流派」の言説と実感のずれ――社会の破綻
第5章 エピゲノム病としての長期衰退
第6章 周期性のコントロールが消える時
第7章「日本病」からの出口はどこにあるのか

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 経済
感想投稿日 : 2016年5月13日
読了日 : 2016年5月13日
本棚登録日 : 2016年4月2日

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