時計の社会史 (中公新書 715)

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  • 中央公論新社 (1984年1月1日発売)
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感想 : 14
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世界各国における時計やそれが表示する制度としての時間の史的変遷を辿る。
ハードとしての時計が世界各国ではどのように受け入れられたのか。14世紀に宗教的な必要性から修道院で生まれた時計は、キリスト教の教義とぶつかりながらも人間の生活になくてはならないものとなっていった。国や時代によって時計の持つ意味が大きく異なっていたことが興味深い。
時計が表示する時間は単に1日の時刻を客観的に認識可能としただけでなく、それによって人間の生活を規定してゆくことになった。時計の登場は「タイムイズマネー」の思想を生み、個人による自由な労働から時間に縛られた工場労働を開始し、産業革命の重要な要因となった。
時計が人類史に与えてきた影響は大きく、広範に渡る。ミクロ的なものからマクロ的なものまで様々な分野との関連性を考えながら読むことができて非常に楽しい本だった。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会科学
感想投稿日 : 2013年8月9日
読了日 : 2013年8月9日
本棚登録日 : 2013年8月9日

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