昭和39年の東京を出発点に、日本の都市とムラの成り立ち、失われていく伝統や地縁を記録した一冊。とくに明治期の都市の形成過程において〈村は古さを保つために、増えていく人を都会に送り出し、都会は村の若者たちと新しい知識を吸収して新しくなっていった〉という一節は印象的だった。日本の都市が伝統や固有の色を持ちづらいことが納得できる。
もう一つ気になった箇所は、中世の河原者の記述について。〈落伍者だけで町はできるものではなく、それらの人を支配し統制し、ばらばらの民衆をまとめて大きな生産力にしていくことによって、はじめて町としての機能が発揮せられる〉という部分。人生から落伍すると一発KOの現代社会にも活かせる考え方かなと思った。
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カテゴリ:
ひつまぶし
- 感想投稿日 : 2012年4月20日
- 読了日 : 2012年4月20日
- 本棚登録日 : 2012年4月16日
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