かわいそうだね?

著者 :
  • 文藝春秋 (2011年10月28日発売)
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「かわいそうだね?」
綿矢りさ


目に鮮やかなライトブルーの背景に、まるで花束をぶちまけたように散らばる花々と、パールピンクのミュール。思い切り女子受けしそうな装丁だと思った。
けれど面白いことに、その美しいミュールは、真っ二つに折れている。今にもバキッという音が聞こえてきそうだ。よく見れば、ミュールを囲む花も、ところどころ枯れ始めている。「ただ可愛いだけじゃないよ」そんな風に囁かれたような気がして、それが妙な期待感を煽った。

数ヶ月前に見た「王様のブランチ」で、この本についてインタビューに答える彼女は、なんというか、女性的な可愛らしさのある、とても綺麗な人だった。
だからこそ、はじめは緩やかなタッチで進んでいたストーリーが、山場を迎えた途端に転がるように走り出して、ちょっとついていけないかも・・・なんて思ったときも、意外なものを見つけたような気がして、私は少し嬉しくなってしまった。これがギャップってやつだろうか。

女子であるが故の滑稽さは、きっと女子だけが分かるものなのかもしれない。小説の中の「彼女たち」を見て、ばかだなぁ と思う反面、身に覚えがある部分も少なからずあるから笑えない。こうはなりたくないなと思いながら、あぁ、分かる分かると頷く自分がいる。
こういう本は面白いんだけど、ついこんな風に感情移入して、読み終えた後少し疲れてしまう、なんてことがしばしばある。次は気分を変えてエンターテイメント系にしようかな。そんなことを思いつつ、なんだかんだ嫌いではないので、また手を出してしまいそうな自分がいる。


以下、内容(「BOOK」データベースより)

同情は美しい、それとも卑しい?
美人の親友のこと、本当に好き?
誰もが心に押しこめている本音がこぼれる瞬間をとらえた二篇を収録。
デビューから10年、綿矢りさが繰り広げる愛しくて滑稽でブラックな“女子”の世界。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 恋愛
感想投稿日 : 2012年12月23日
読了日 : 2012年11月25日
本棚登録日 : 2012年12月23日

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