絵本以外で初めて読み通した文学作品がこの本だった。読書は嫌いだったのに、これは本当におもしろくて、文字を読むことが苦痛にならないということが新鮮だった。特に、前半のワクワクする感じ。この作品の「すぎでっぽう」以上に魅力的なオモチャを僕は知らない。だからこそ、結末は衝撃的だった。物語はハッピーエンドだけじゃないなんて知らなかったから。そう考えるといわゆる少年文学宣言に方向付けられた古田の目論見は、(少なくとも僕の読書体験においては)しっかり機能していたように思う。
大人になってから再読すると、あの結末にはまた違った印象を受ける。この本を読み返しつつ、小学生だった時分の行動範囲を歩いてみると、最後の1ページがものすごい重みをもってのしかかって来る。変わってしまったという事実と、変わっていくしかなかったのだという思いと。大人の側の視点を得た故に、問題の複雑さが見えてしまう。彼らは決して敵ではなかったのだということも、今ならわかる。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
絵本・児童文学
- 感想投稿日 : 2014年9月19日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2011年5月18日
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