ベラルーシの林檎

著者 :
  • 朝日新聞出版 (1993年10月1日発売)
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本棚登録 : 108
感想 : 17
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アメリカのブックセールで購入。

フランスに住んでいたので、岸恵子さんというお名前に惹かれ、多くはない日本語コーナーから見つけた。お名前以外、内容も何も知らないまま手に取った。日本の書店だったら出会えていなかったと思う。

フランスで過ごされたお話し中心かと思っていたが、想像以上に難しい題材だった。
岸さんの文章力、おちゃめなユーモアの中に芯の強い女性であることが伝わってきた。(文章の巧みさは、なるほど川端康成のくだりで納得)

岸さんだからこそ、またその時代だからこそ経験することができた多くの世界的な動乱がとても活き活きと綴られている。
昨年フランスではJ'accuse (私は弾劾する) の映画が公開され、話題となったが、その話 (映画のもととなった事件) も出てくる。

フランスでは岸さんのように友人を通して異国のことを学ぶ機会が多かった。本書を読んで、彼らのことを思ってみたり、私が訪れた時にはすっかり明るい雰囲気を放っていたエストニアを思ったり、何とも言えないこみあげてくる気持ちに浸ることができた。
また、実際に訪れたことのない場所についても、まるで自分が訪れているかのように思い描きながら読んだ。

島国である日本に生まれた日本人が読むべき一冊だと思う。映画雪国を観てみたいと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 日本
感想投稿日 : 2020年7月30日
読了日 : -
本棚登録日 : 2020年7月30日

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