人魚は海から出てきて初めて目にした人間を好きになるという迷信をモチーフにした高校教師系恋愛漫画。<br />若い男性教師に惹かれる女生徒の揺れる思い、みたいなストーリー展開は月並みそのもので、正直真新しいものはほとんどない。だが、くらもちふさこの卓越した技術が退屈を許さず、身をよじりたくなるようなドキドキ感を与える。<br />私は冒頭の人魚に関するモノローグから入って、都会を上空から見下ろすカットを入れて、満員電車の中でヒロインが先生を見上げるところまでの演出で既にやられてしまった。<br />文庫版の解説にもあるが、ほとんど完全にヒロインの一人称目線にこだわって書いてあって、神の目線からの説明のようなものが全く無い。よって、ヒロインにはこう見えたけど実際にはどうかわからない、みたいなことが頻繁にあるが、それがまたなにかわからないことだらけの恋愛というものをあらわしているようで燃える。<br /><br />随所に昭和臭さがうかがえるが、そこまで古くはなく、一定の普遍性を保っているように思う。<br />石神井公園がやたら出てくるが、西武池袋線沿線にでも住んでいたのだろうか。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
本・雑誌
- 感想投稿日 : 2009年8月15日
- 読了日 : 2009年8月22日
- 本棚登録日 : 2009年8月15日
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