「外国語を身につけるためには欧米式の読書技術が必要」という立場から、世界の多くの国で行われている「テクストの分析と解釈・批判(Critical Reading)」という読書技術教育について紹介した本。
2006年の本だけど、日本の国語教育(特に、物語や小説の読解の授業)にかなり批判的な印象。「日本の国語は道徳だ」と言ってみたり。筆者は、つくば言語技術教育研究所の所長。言語技術教育や読書技術教育の実践や研究を行っている。
財団法人日本サッカー協会で言語技術を指導したりもしていたらしい。「瞬間的に状況を分析し、判断するためには、サッカーの場面だけでなく、あらゆる状況において論理的な分析と判断ができることが重要だと考えられている」とのこと。
高校とかでは、小説でも、ある程度、論理的に解答を導く方法を教えられた気がするけど、問題なのは、定期試験では授業中に教えられた解答を覚えるだけでよかったことと、自分で論理的に考える技術はあくまで受験対策として教育されたということだと思う。ただし、これは私が進学校にいたからかもしれないけど。
「ひとたびその方法が身につけば、本を読むときばかりでなく、映画を観るときもニュースを見るときも、絵画を見るときも、子どもに絵本を読み聞かせるときもにも、自分の中で対象を分析する機能が自動的に働いて、深く、そして楽しい「読み」ができるようになるでしょう。」
と書かれているように、この本で紹介されてる読書技術は、「外国語を身につける」という目的に限らず、身につけるべき技術であると思う。むしろ、この技術を身につけることは外国語を身につける上でも重要、くらいの位置づけな気がする。
「テクストの分析」の基礎力を養うために、「絵の分析」から始めるというところがなるほど!美術館にいっても、「なんとなくこの絵は好き」とかくらいの感想しかもてなかった私にとって、「絵を読む」という発想は目からウロコ。しかも幼児や小学生にもできるというからカルチャーショック。
ぜひこういう教育の推進に関われるような仕事がしたい。
- 感想投稿日 : 2011年11月11日
- 読了日 : 2011年11月11日
- 本棚登録日 : 2011年11月4日
みんなの感想をみる