無花果の実のなるころに

著者 :
  • 東京創元社 (2011年2月24日発売)
3.51
  • (20)
  • (93)
  • (100)
  • (13)
  • (2)
本棚登録 : 479
感想 : 100
3

これまで時代物を得意としてきた西條さんが、昔の風情が残る現代の東京・神楽坂を舞台にした青春ミステリにチャレンジ。 元芸者のしゃきしゃきお祖母ちゃんと料理が得意な少年という異色の組み合わせの主人公を中心に据えて描く、まさに新たに開く新境地だ。一編一編が日常の謎を解いていく独立した話なのだが、全体を通して一人の少年のグローイング・ストーリーともなっており、その中に伏せられた更なる謎解きも楽しめるというなかなか凝った趣向だ。軽妙なユーモアを交えた語り口としっかりとした設定が破たんのないミステリを作り上げていて、読んでいて楽しい。料理の出来ないお蔦・お祖母ちゃんと同居する料理好きの中学生・滝本望という組み合わせがユニーク。お店と住まいがある神楽坂の元花街という粋な雰囲気も良く生きているし、濃密なご近所つきあいも下町的で事件解決に一役かっている。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2011年4月1日
読了日 : 2011年4月1日
本棚登録日 : 2011年4月1日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする