これまで時代物を得意としてきた西條さんが、昔の風情が残る現代の東京・神楽坂を舞台にした青春ミステリにチャレンジ。 元芸者のしゃきしゃきお祖母ちゃんと料理が得意な少年という異色の組み合わせの主人公を中心に据えて描く、まさに新たに開く新境地だ。一編一編が日常の謎を解いていく独立した話なのだが、全体を通して一人の少年のグローイング・ストーリーともなっており、その中に伏せられた更なる謎解きも楽しめるというなかなか凝った趣向だ。軽妙なユーモアを交えた語り口としっかりとした設定が破たんのないミステリを作り上げていて、読んでいて楽しい。料理の出来ないお蔦・お祖母ちゃんと同居する料理好きの中学生・滝本望という組み合わせがユニーク。お店と住まいがある神楽坂の元花街という粋な雰囲気も良く生きているし、濃密なご近所つきあいも下町的で事件解決に一役かっている。
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- 感想投稿日 : 2011年4月1日
- 読了日 : 2011年4月1日
- 本棚登録日 : 2011年4月1日
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