グラフィック・デザイナーとして名高い著者の幻のエッセイ集のリニューアル復刻版。原本は「ポスターを盗んでください」(新潮社、1995年)だが、それに新しいまえがきとあとがき、さらにエッセイ3編を加えたもの。いかにデザインに興味がない人でも、この著者がデザインしたものを目にしたことのない人はいないはず。たとえばJRの切符を始め、無印良品の品物、ウイスキーのボトルにインスタント・コーヒーのビンなどなど。 さて、若くして成功を収めたデザイナーが、モノ書きの才能を発揮できたわけは、この本のまえがきに詳しい。岡山の高校時代からの悪友で作家の原田宗典の紹介によるものとのこと。収録されている50編のエッセイは、「それを創りながら。」と題され、「小説新潮」に5年にわたり連載されたものだ。 15年以上の年月を経て読み返せば、内容的にはいささか古臭さを感じさせるものもあるけれど、デザインの本質を突く言葉は、勢いのある当時のままに通用するようだ。
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- 感想投稿日 : 2011年3月26日
- 読了日 : 2011年3月26日
- 本棚登録日 : 2011年3月26日
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