憲法とは、同質の価値観が維持されていた中世の宗教世界が崩れた近代において、多様な価値観・世界観を抱く人々の公平な共存を図るための枠組みであり、国家の構成原理である。
憲法は国家の構成原理であり、近代における多くの戦争は異なる憲法を攻撃目標とする敵対であるという点、国家の憲法と憲法典が違うという点は新しい視点だった。
長谷部先生の本は初めて読んだのだが、結構保守的な立場から書いてあるように感じた。
憲法典を変えても憲法が変わるわけではないし、変更の必要がある場合でも、解釈や一般法の制定で対処できるといった改憲についての議論は納得できる部分もあるが、九条については明らかに無理のある解釈をしていると感じるし、解釈の幅が広すぎると憲法典が有名無実化してしまうおそれがあると感じる。
また、憲法典についても同じことが言えるかは難しいところだが、国際化・多様化が進む現代においては、同質性を前提とした曖昧なローコンテクストコミュニケーションは通用せず、明記が必要な部分は明記していくべきなのではないかと思う。
憲法典を変えることを自己目的としてはいけないという点については大賛成なので、憲法つまり国のあり方について、国民の間で議論がされるような土壌を作られていくといいなと思った。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
法律・政治
- 感想投稿日 : 2023年4月29日
- 読了日 : 2023年4月29日
- 本棚登録日 : 2023年4月29日
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