遺譜浅見光彦最後の事件 (下) (単行本)

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店 (2014年8月1日発売)
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感想 : 36
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アリシアの祖母のニーナの強い要望で『フルトヴェングラーの楽譜』を持ち帰る
アリシアと千恵子と伴にドイツに渡った光彦。
『楽譜』は、滅茶苦茶で音楽になっていない。
光彦はモールス信号ではと気付く…。
『絵のタイトル』・『画家の名前』・『美術館の名前』の一覧表である。
ヒトラーとナチスドイツは『頽廃芸術』と称し破棄・焼却を命じていた。
その内400点程の絵画が抜き取られ、半分はドイツ国内へ、
残り半分は日本へ運び込まれていた。

丹波篠山で、隠匿物資を守って来た忌部…。
後を光彦に託すと言い残し亡くなる。

忌部が光彦をすぐ後を継ぐ人と決めた理由
忌部と光彦の祖父陽祐との関係
次から次へと人間関係の糸が繋がっていく…。
戦後の日本での浅見家の役割…。
兄、洋一郎の胸の内…。

戦争への思いや戦後のの日本への憂い等
作者の強い思いがとても感じられる作品でした。
いつもにの光彦探偵が殺人事件の犯人を見付けるといった物語とは、
全く視点の違う最後の事件簿だったと思います。
探偵業をやめるという光彦さん…。忌部の後を継いで行くのか?
結婚して神戸に住むのか?どう、進んでいくのか?
ぼんやりと終ってしまった…

あとがきにて内田氏が、いつか筆を折る決断の時が来る。
浅見光彦というキャラクターも一蓮托生でケリをつける。
でも、『浅見光彦の復活』を書く努力をする
楽しみです

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ミステリー
感想投稿日 : 2016年2月25日
読了日 : 2014年9月25日
本棚登録日 : 2016年2月25日

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