営繕かるかや怪異譚

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店 (2014年12月1日発売)
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◆『奥庭より』
 亡くなった叔母から受け継いだ古い町屋
 奥座敷の襖が開く…。何度閉めても開く…。

◆『屋根裏に』
 古い武家屋敷。老いた母が屋根裏に誰かいる。歩いている…。

◆『雨の鈴』
 袋小路の奥に建つ古家を祖母から受け継いだ。
 雨の日喪服姿の女が鈴の音と共に佇む…。

◆『異形のひと』
 引っ越して来た古びた田舎家
 痩せこけた老爺を家の中のそこここでみてしまう…。

◆『潮満ちの井戸』
 古家の庭の井戸の神様を祀ってあった古い祠を壊してしまう。
 あれ以来何かが可怪しい…。ゆっくりと庭が腐り始めたように思えてならない…。

◆『檻の外』
 古家のガレージ。車のエンジンが良くかからない…。
 子供の姿が…ママと呼ぶ声が…。


古い家に起こる家の障り
人が住めば疵が付く、良い疵もあれば、悪い疵もある。
古い家にはそんな疵が折り重なっているもの
それこそが、時を刻むという事なんでしょうね。

家の障りを「修正」する方法が素晴らしい。
修正するのが、営繕かるかやの尾端さん
霊能力者でもなんでもなく大工さん
怪異を忌み嫌ってお祓いをするんじゃなくて
怪異の意に寄り添って家の補修やリフォームを提案してくれる。
障りになる疵は障りにならないよう直す。

日常生活のそこかしこに「いないはずのもの」を感じさせてくれた。
やはり、じんわりホラーでした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ホラー
感想投稿日 : 2016年2月26日
読了日 : 2014年12月28日
本棚登録日 : 2016年2月26日

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