ハーメルンの誘拐魔

著者 :
  • KADOKAWA/角川書店 (2016年1月29日発売)
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感想 : 158
3

★3.5

病院からの帰り道、母親が目を離した隙に15歳の少女・香苗が消え、
現場には中世の童話「ハーメルンの笛吹き男」の絵葉書が残されていた。
香苗は子宮頸がんワクチン接種の副反応によって記憶障害に陥っていたことが判明する。
警視庁捜査一課の犬養隼人は相棒の明日香と捜査に動きだしたが、
数日後、今度は女子高生の亜美が下校途中に行方不明になり、
同じく現場では「笛吹き男」の絵葉書が発見された。
亜美の父親は子宮頸がんワクチン勧奨団体・日本産婦人科協会の会長だった。
ワクチンに関わる加害者と被害者家族がそれぞれ行方不明に。
犯人像と、その狙いが掴めないなかさらに第三の事件が発生。
ワクチン被害を国に訴えるために集まった少女5人がマイクロバスごと消えてしまったのだ。
その直後捜査本部に届いた「笛吹き男」からの声明は、70億円の身代金の要求だった…。


重篤な副反応を知りつつも、自分の省益や既得権益を護るためなら、
人命など路傍の石同然に思っている製薬会社や厚労省や産婦人科協会。
この国の未来の子供を産み育てる女の子を何だと思っているのか怒りを感じた。
だから、何度も何度も薬害を巡る悲劇が繰り返されるのだ。

犬養隼人シリーズ初めて読みました。
犬養の鋭い洞察力は凄く良いなぁって思ったけど、顔の表情やしぐさなどで相手の心理を
見抜くのが得意なのが男性だけだっていう事を何度何度も言ってて鬱陶し過ぎた。
そして相棒の明日香が何故か犬養を毛嫌いしてて、感情的になり過ぎて
相手を傷付けたり、迷惑を掛ける事が多過ぎでイラッとした。
二人の関係性が信頼で結ばれて好転していけば良かったのに…。
ミステリーとしては、途中で犯人が予想できてしまったし、身代金の受け渡しのシーンは
余りにもお粗末過ぎてやっぱり、突っ込み所満載だった。
最後のどんでん返しも、そうだろうって思ってたので驚く事すら出来なかった。残念でした。
でも、子宮頸がんワクチンの副反応という社会問題をエンターテイメントという形に変えて
問題提起している著者の姿勢や気持ちが凄く良かったです。
先日、集団訴訟がニュースになっていた。
副反応に苦しむ多くの女性がいます。
その研究を進めて、一刻も早くその苦しみから救ってあげて欲しいって思っています。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 社会派ミステリー
感想投稿日 : 2016年8月12日
読了日 : 2016年8月12日
本棚登録日 : 2016年8月5日

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