ミドリのミ

著者 :
  • 講談社 (2014年6月19日発売)
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本棚登録 : 199
感想 : 34
3

重田ミドリ・小学3年生
住み慣れたN市を離れて、父親・広の新しい恋人
カメラマンの平野源三の家で暮らす事に…。
新しい学校にはなかなか馴染めない
でも、新しいお家での暮らしは楽しかった。
キャリアウーマンの母・貴美子とは月に一度会っている。
貴美子は広の新しい恋人が男性だという事が受け入れられない。
ミドリが4年生になると、学校や保護者の間で広と源三の事が
噂となり、苛められるようになる…。


読み始めは、表紙のイラストやタイトルから、少しへんって言われる
女の子ミドリちゃんの物語かと思っていたが…。
父の広と源三の漫才の様な掛け合い…。
二人の関係は何…?
広と貴美子の別居の理由は何…?
えーーっ。広と源三が恋人でそれが別居の理由だったの…。

軽妙で軽やかに描かれていたが、性マイノリティーという
とっても重いテーマを扱った物語でした。

完璧主義で母親の役割を演じているような貴美子は好きになれなかったけど、
そんな彼女の育った家庭環境を思うと、彼女も犠牲者だったのかなぁ。
父親の余りにも空気の読めなさや、失言の数々もイラッとしちゃった。
源三の強さや素敵さは、辛い過去を乗り越えたからこそなんですね。

後半は重かったなぁ。
源三の過去や性マイノリティーの人々の生き辛さ
ミドリが広と源三のキスシーンを目撃してしまい
とっても傷付く所は、切なかった…。
大人達はそれぞれに心を砕きミドリちゃんの事に思いを馳せていますが、
思春期の子供が普通から普通じゃない境遇に置かれ、
普通じゃない人を排除しようとする世の中や心の狭い人々
どんなに心を砕いても傷付けてしまう。

ラストは苛めを受けているミドリを貴美子に預けていて、
それでも、広と源三にはミドリが大切で愛おしくて迎えに行く…。
明るく希望に満ちた終わり方をしていますが、
ミドリの気持ちは本当はどうなんだろう…。
ミドリの笑って過ごせる居場所が出来ると良いなぁ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 家族小説
感想投稿日 : 2016年2月26日
読了日 : 2014年12月17日
本棚登録日 : 2016年2月26日

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