母のあしおと

著者 :
  • 集英社 (2018年8月24日発売)
3.60
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本棚登録 : 193
感想 : 28
3

★3.5

平凡な女性、日吉道子の人生を「逆から」紡ぐ連作短編。
死から時をさかのぼり、女であり、母であり、妻であり、娘であった道子の人生を
周囲の人々のまなざしで描く、心温まる物語。

・はちみつ    平成二十六年
・もち      平成二十三年
・ははぎつね   平成八年
・クリームシチュー 昭和六十一年
・なつのかげ   昭和四十九年
・おきび     昭和四十二年
・まど      昭和二十八年

道子の死後一人で生きる夫の思い出のなかの道子。
道子の葬儀の時の次男の想い出。
道子夫婦に初めての結婚の挨拶に来た長男の婚約者の思い出。
道子自身の結婚前夜の思い出。
入院してた母の道子への思い。

道子の周りの人々の視線を通して人生を逆に描いてる
七編からなる連作短編集。
最初の夫の思い出の中の道子の人物像が周りの人々の回想の中で
次第に色んな顔を見せてくれる。
本当に一人の人生の中で色んな事が起こり
自分の思う様に進まない事もおおくある。
色んな顔をみせ色んな姿が浮かび上がって来る。
でもひとりひとりの大切な人生で、大切な温かい思い出となって残っている。
自分の周りの人々、大切な人の中でどんな姿をしているのだろう…?
どんな思い出を形作っているのだろう…?
そんな事をいっぱい考えながら読んでいました。

読んでてずっと切なかった。
しみじみと良い本でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 家族小説
感想投稿日 : 2019年1月6日
読了日 : 2019年1月6日
本棚登録日 : 2018年12月2日

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