お嬢さまとお呼び!

著者 :
  • エンターブレイン (2008年3月12日発売)
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感想 : 19
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なぜ絵が飯坂友佳子じゃないのだ。お嬢様は飯坂友佳子の、トイレットペーパーの芯が連なったようなガッチガチの縦巻きロールでなくてはならない。作中で主人公の麗花が度々昭和時代の少女漫画に出てくるようなライバル型お嬢様(セーラのラビニアや、ガラスの仮面の亜弓みたいなイメージ)への憧憬をしつこく言及しているんだから、これを現代的なおしゃれロールの絵で描くのは間違ってるだろう・・・飯坂友佳子の絵って、ちょっと90年代の香りがするけど華があってかわいくてギャグっぽくてこの話にすごく合ってたと思うのになあ。新規客開拓を狙うにしても、イラストはそのままで十分だったんじゃないかなあ。とりあえずイラストに関して気に入らないので星は1つ減らした。事情はあとがきに書いてあるけど、担当は見る目がないなあ。

小学校のころ読んでいて、その後も時々思い出しては森奈津子を調べたりして近況にびっくりしたりしていた。内容については、子供向けの文だけど今でもそれなりに楽しめる。主人公の性格に少しブレがある気がするけど、一人ひとりキャラがたってて。

ところで、森奈津子の同時期の作品(多分)『いつでもこの世は大霊界! 』とこのお嬢さまシリーズを私は混同してしまっていて、なんとなくこの話も読めると思い込んでこの本を手にとってしまったので入ってなくて残念。舞台は同じ(中等部と高等部だけど)なので、このシリーズのどこかに入ってないかなあ。大霊界の方も面白くて、お嬢さまシリーズより恋愛要素が多い感じ。物語序盤から出てくる健康的な美青年ではなく、暗くて女嫌いの副部長との恋愛物に発展するところがなんか好きだったなあ。森奈津子は初めからこういう嗜好(昭和的ベッタベタの展開を読者が知っていることを踏まえて、あえてそれをベタベタのまま踏襲したり正反対の展開で予想を裏切ったりする)があったんだなあと思う。

第一作目から書き進めるごとに文章がうまくなっているのもわかるし、今回読んだ総集編には巻の最後にお嬢さまシリーズの新作書き下ろしが入っているのだけど、最近書いたものはやはり読んでいて安心できるというか文章が確実にうまくなっている。初期のものは、勢いやアイデアはいいんだけど構成がまだ練れてなくて中だるみしたりしてるので(それを覆す魅力があると思うけども)。

それにしても全編通して、拓人よりも工藤くんよりもお杉くんがかっこいいよなあ。

読書状況:未設定 公開設定:公開
カテゴリ: 回顧
感想投稿日 : 2011年11月15日
本棚登録日 : 2011年11月13日

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