おどろきの中国 (講談社現代新書)

  • 講談社 (2013年2月15日発売)
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「おどろきの中国」は講談社現代新書「ふしぎなキリスト教」の著者である橋爪大三郎と大澤真幸に宮台真司が加わった二匹目のドジョウを狙った本ですが、1作目がやたら面白かったので、敢えてその講談社の商法に乗っかりこの本を読みました。
サブタイトルの「そもそも国家なのか?」にも魅かれた面もあります。

中国とは何ぞやという本題もさることながら、特に私の中では過去から、燻ぶっていたのが、
・日本は何故日中戦争のようなあんな馬鹿げた戦争をやったのか?
・上記に対する日本の謝罪の問題
ですが、この解とも言える箇所が幾つかあり、胸のつかえが取れた感じがしました。

特に宮台氏の以下の発言が印象に残っています。
「東京裁判という虚構図式式の踏襲が合理的だと考えています。日本が謝罪するというあいまいさを避け、『A級戦犯が指揮した作戦行為や戦闘行為は悪かったし、それらの行為が悪かったことを政府や国民は理解しているし、A級戦犯を自力で取り除けなかった事を悔やんでいる』と言えばいい。現にそれが『日本国民は悪くなかった』と語った周恩来首相が望んでいたことでしょう。・・・略・・・ふつうは橋本さんがおっしゃるような心からの謝罪が重要だとは思うけれど、戦争世代から遠く離れた世代が心からの謝罪の気持ちを継続出来ないことが自明である以上、後続世代は東京裁判図式がもつ意味をよく理解し、かつ未来志向的な信頼醸成が最終的には得になることをわきまえ・・・」

東京裁判については、現在では勝利者の敗者に対する一方的な裁判という意見が多いなかで、この解釈は、まさに目から鱗の解釈と映りました。
また、今回改めて1972年の「日中共同声明」を読んでみました。先人は後世の為に色々と苦労しているのだなという印象を強く感じた次第です。

この問題は非常にデリケートな政治問題なので、人それぞれの考え方があり、この考えに同調してくれなんて事は言えませんが、私の中では非常に有意義な本でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2013年5月29日
読了日 : 2013年4月29日
本棚登録日 : 2013年5月29日

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