ビートルズを知らない子どもたちへ きたやまおさむ著

  • アルテスパブリッシング (2009年9月5日発売)
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著者の略歴を簡単に述べると、以下のように説明されている。
本名 北山修 
日本の精神科医、精神分析家、臨床心理学者、作詞家、ミュージシャン
1946年淡路島生まれ。’72年京都府立医科大学卒業。
ロンドン大学精神医学研究所にて2年研修後、北山医院(現南青山心理相談室)院長を経て、2010年春まで九州大学大学院人間環境学研究院・医学研究院教授。
現在は、九州大学名誉教授、白鴎大学副学長・兼特任教授、国際基督教大学客員教授。

私の知る「きたやまおさむ」は、九州大学名誉教授なんて凄い肩書の人ではなく、1960年代後半に関西地方での深夜放送で人気を博した「帰ってきたヨッパライ」の「ザ・フォーク・クルセダーズ」のそれであった。
彼は2010年には九州大学で退官記念の「さよならコンサート」を開いた。学内でこんなことをした大学教授なんて初めてだろう。

本書は1987年の講談社新書「ビートルズ」を編み直して復刊したものである。
ビートルズの入門書と思って読むと、全然違うことに気づく。
それは若き精神科医のビートルズを題材にした精神分析論であり、60年代に青春を謳歌した著者の時代論でもある。
巻末のインタビューで「これからの若い人がビートルズの曲だけ聴いても、そんなに面白くないかもしれません。なぜなら、そこにはわれわれの世代がリアルタイムで味わった『ビートルズ現象』がないからです」
「ビートルズの登場はトンジスタラジオが手に入るようになったり、カセットテープレコーダーが開発されたりと、いろんな要素や偶然が重なりあった「とき」とともにありました。その瞬間ビートルズがあの角を曲がった! というのでそこにスポットライトが当たり、ビートルズ現象が出現したわけですけど、惑星が一列に並ぶようなそんな偶然はもう訪れないような気がします」

ビートルズを直接知らない世代は、何度も*「あの素晴しい『ビートルズ』をもう一度」と歌いながら待つしかないようだ。

*「あの素晴しい愛をもう一度」
1971年リリース
作詞:北山修
作曲:加藤和彦

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2016年10月5日
読了日 : 2016年10月4日
本棚登録日 : 2016年10月4日

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