10年以上「育て直し」のボランティアをしてきたらしい筆者。それに期待しすぎてしまったかもしれない。
事例などはなく「どうしてそうなるのか」が見えてこなかった。私自身、いわゆる毒親と呼ばれるような親に育てられた子に関わることの多い仕事をしていたのでわからないこともないが、全て言い切りなのに根拠が見当たらないのがなんとも言えなかった。おまけに書いてあることはほぼ同じことの繰り返し、読んでいて段々元気がなくなる。もはや筆者が「親は恐ろしい」と洗脳をしているのではないか。(実際、記述にあるような親でも優しい親だと思いたい人には効くのかもしれない)
私の育ちはこの本に当てはまるような部分がほぼないから、共感できる人だとまた感想が変わるのかもしれない。
以下、ほぼ私個人の想いである。
親を「毒親」と憎み続ける限り本人も苦しむ印象が強いが、この本に記載されているような親を持つ人に「親は酷い」と思わせないか心配になる。
子どもはどんな親でも好きで、嫌いになれないから苦しいのではないか。親に愛されたかった自分がいることや、親は親で大変だったとか愛し方を知らなかったとか、愛情はあってもかけ方が変だったとか、そういうのをひとつひとつ認めていった先に手放すことができるのではないだろうか。
この本を読んでいると親に対して否定的な方向にしか進まなそうであるし、それでは恐怖が憎しみや悲しさに変わっただけな気がする。
やはり事例が一切ないのも大きい。私個人の考え方も変わらないし、読み終わる頃には全て筆者の主観なのではと思い、最初に驚いた記載も、なんだか大袈裟に言っているだけな気がしてしまったのが残念。色々考える題材にはなった。
- 感想投稿日 : 2021年3月23日
- 読了日 : 2021年3月23日
- 本棚登録日 : 2021年3月12日
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